怒りの矛先 | エレミヤ書 21章

RCJメディアミニストリー「ふくいんのなみ」のトップページへ戻る

エレミヤ書 21章

主はこう言われる。
朝ごとに正しい裁きを行え。
搾取されている人を
虐げる者の手から救い出せ。
わたしが火のような怒りを
発することのないように。日本聖書協会『聖書 新共同訳』 エレミヤ書 21章12節

怒りの矛先

ユダ王国の終焉が近づいています。バビロンの王ネブカドレツァルが西方に遠征しようと軍を構えています。ユダの背信に対する神の裁きは大いなる怒りとなってエルサレムの都を焼き尽くそうとしています。

戦争にはいつも人間の打算が働きます。民衆が戦争を引き起こすのではなく、王族たちが富や名誉のために国民を駆り立てます。バビロンの王にしても自国の利益のために兵を起こすのに違いありません。しかし、その背後には歴史を支配する神がおられ、ご自身の意思を実現されます。

エレミヤを通して告げられた生き残りの道は、バビロンに降伏して捕囚を受け入れることです。ユダの人びとはすべてを失うでしょう。神殿も土地も財産も。けれども主の言葉に従えば命だけは助かると教えられます。

神の怒りの矛先は、あてのない理不尽なものではなく、神の正しい裁きを曲げて搾取を続けた都に向けられています。「朝ごとに正しい裁きを行え」。それが神の願いでした。神の告発を敏感に受け取る感性がいつの時代にも求められます。

牧野 信成(長野佐久伝道所)