秩序が壊れる先に見えるものがあるならば | サムエル記下 2章

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サムエル記下 2章

今、主があなたがたに慈しみとまことを尽くしてくださいますように。わたしも、そうしたあなたがたの働きに報いたいと思います。力を奮い起こし、勇敢な者となってください。あなたがたの主君サウルは亡くなられましたが、ユダの家はこのわたしに油を注いで自分たちの王としました。日本聖書協会『聖書 新共同訳』 サムエル記下 2章6節~7節

秩序が壊れる先に見えるものがあるならば

イスラエルは、ポスト・サウル体制に向けて、慌ただしく動いていきます。サウル軍司令官であったアブネルはサウルの子イシュ・ボシェトを担ぐことで現体制の維持を目指します。他方、新しい体制を望むユダの家の人びとは、ペリシテに亡命していた、かつてのサウル軍切り込み隊長ダビデを王に立てることで結束します。

どちらがイスラエルの主導権を握るのか。両者はギブオンの池で激突します。その戦いには一定の秩序が持ち込まれました。それぞれ代表者を立て、勝ち抜き戦で決着をつけること。そうして、お互いの戦力の消耗を防ぐこと。しかし、そのような合意は瞬く間に崩れ、戦いは総力戦へと雪崩れ込みます。被害が大きかったのは、旧サウル軍の方でした。しかし、ダビデ軍の方でも有力な若者を失うことになります。討ったのはアブネル。それが禍根を残すことになります。

混沌とする両者の戦い。秩序への努力とそれを一瞬にして壊す人間の罪。人は愚かです。しかし、そこから僅かでも気づけているものがあると信じたいのです。私たちの日々の営みにおいても。

柏木 貴志(岡山教会)