偏った愛情が生む悲劇 | サムエル記下 18章

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サムエル記下 18章

「あなたは我々の1万人にも等しい方です。今は町にとどまり、町から我々を助けてくださる方がよいのです。」日本聖書協会『聖書 新共同訳』 サムエル記下 18章3節

偏った愛情が生む悲劇

反乱軍と戦うダビデは、当初自身が先頭に立って出陣しようとします。兵たちは、王の命こそ守らなければならないと、王を後方に留めます。この忠実な兵に対して、ダビデは彼らの命ではなく、敵対する息子アブサロムの命を心配します。後に勝利が伝えられた時も、ダビデが心配するのはアブサロムのことばかりでした。ダビデの愛情は実に偏っています。

一方のアブサロムは、フシャイの策略に乗って自ら前線に出ます。そしてこれが命取りになります。戦いはダビデ軍の一方的な勝利に終わりました。敗走するアブサロムは髪の毛が木にからまり、宙吊りになってしまいます。

兵たちは、王の命令を守ってアブサロムを保護しようとします。しかし、将軍ヨアブは自ら王子の命を奪います。反乱者を見逃さない判断はダビデより冷静かもしれません。しかし、ヨアブはヨアブで、ダビデ王と自分の立場だけを求める人物です。彼の愛情も偏っていると言わざるをえません。

人の愛情は偏り、その偏りが悲劇を生みます。偏ることのない愛、神の愛こそ私たちを生かすのです。

長田 詠喜(新所沢伝道所)