2005年9月16日(金)「あり得ない出来事」

 いかがお過ごしですか。新所沢教会の長石です。

 以前.映画のコマーシャルで、「アリエネー」というキャッチコピーが流れたことがあります。「アリエネー」という語感は、デフォルメされたカンフー映画の面白さをよく伝えていました。

 ところで聖書にも、「アリエネー」と思われるような出来事が記されています。それは、イエスさまの十字架刑を執行した百人隊長の言葉です。彼はイエス様が十字架上で息を引き取った後、「本当に、この人は神の子だった」と言ったというのです。

 この言葉は、よく考えると、アリエネー言葉ではないでしょうか。というのは、彼はローマ帝国の権威の下に十字架刑を執行した責任者だったからです。職務中にこうしたプライベートな発言をしたことは、もっともあり得ない立場にある人の、もっともあり得ない発言であったといえます。つまりイエス様の荘厳な十字架の死は、それを目の当たりにした人々にとって、ただならぬ出来事であったことをこの言葉は証言しているのです。しかも処刑されたのが本当に神の子だった以上、取り返しのつかない大罪を犯してしまったわけです。どうずる百人隊長?といったところです。まさしくイエス様の十字架の死は、人間の罪の極みと、神の赦しの極みとが、見事に重なった、まさにあり得ない出来事だったのです。