2009年4月11日(土)ルカ23章44〜49節 垂れ幕が裂けた


太陽は光を失っていた。
神殿の垂れ幕が真ん中から裂けた。(ルカ23:45)

 主イエスの十字架の死に付随して、「神殿の垂れ幕が真ん中から裂けた」とあります。これは、共観福音書が共通して記す大切な出来事です。エルサレム神殿の奥深い内部で起こった、祭司以外の人には知り得ないはずの事柄です。後日、祭司たちがキリスト教に入信してきた時に、明らかにされたことなのでしょう。

 「神殿の垂れ幕」とは、神殿の一番奥の至聖所と手前の聖所とを分ける垂れ幕のことです。至聖所は神の臨在の場であり、人が入ることは禁じられていました。一年に一度、贖いの日に、大祭司だけが小羊の贖いの血をたずさえて入る定めでした。

 その隔ての垂れ幕が裂かれたのは、この旧約の神殿システムが廃棄されたしるしでした。主イエスの十字架により人の罪は完全に贖われ、人は自由に神の御前に立つことができるようになりました。

 旧約時代の大祭司は、神の近さを、年に一度至聖所のなかで体験していたことでしょう。新約時代の私たちは、主イエスの贖いの血によって、大祭司よりも更に近くで、日々、神の御前に立つことができます。