2010年4月18日(日)詩編55編 練り上げられた信仰者の言葉


あなたの重荷を主にゆだねよ
主はあなたを支えてくださる。
主は従う者を支え
とこしえに動揺しないように計らってくださる。(詩編55:23)

 詩人の苦しみは、都会の喧騒に疲れ切った現代人のそれのようです。暴虐・争い・悪事・災い・破滅・虐げ・欺きに満ちる町のなかで、親友にも裏切られ、人間不信の絶望にあります。その苦悩に耐えられず、「荒れ野に飛んでいきたい」と願う声は、人間関係に破れて、山村での孤独な生活を願う心境にも似ているでしょうか。

 しかし詩人は、結局逃げ出さず、神への信頼によって苦境と向き合います。敵の滅びを願う呪いの言葉も、神との絆を確認するための必死の手段です。そのような言葉を吐かざるを得ないほどのギリギリの苦境に立たされているのです。そんな必死の信仰の戦いのなかで、神にふさわしい祈りも、ふさわしくない祈りも、すべて吐き出したその結実として、23節の有名な勧めの言葉が生まれてきたのでしょう。

 それは、苦難の炉のなかで練り上げられて結晶化した珠玉の言葉です。読む者を絶望から立ち上がらせ、神への信頼へと開いていく力をもった言葉です。この力ある御言葉によって今日、生かされますように。