2010年4月25日(日)詩編56編 「恐れ」と「信頼」と「賛美」


恐れをいだくとき
わたしはあなたに依り頼みます。
神の御言葉を賛美します。
神に依り頼めば恐れはありません。
肉にすぎない者が
わたしに何をなしえましょう。(詩編56:4-5)

 絶えることなく敵の圧迫が続く。ひたすら逃避行を繰り返しても、心が騒がない時は一秒も無い。苦しい…。しかし、そのような「恐れをいだくとき」にこそ、はじめて詩人の「信頼」は立ち上がります。極限状況のなかで、自分はどこに拠り所を置いて生きていけばよいのかという自問自答は研ぎ澄まされて、心は人間の力の及ばぬ方へと向かいます。決して我を見捨てず、万事を益としてくださる神への「信頼」が深められ、圧倒的な「恐れ」のなかで、詩人は命の光を見出します。

 詩人は、恐れのなかで、どれほど涙したことでしょうか。頬を伝わって流れる涙は、地面に落ち、消えて行ったはずです。しかし、このなかで、詩人は「あなたの革袋にわたしの涙を蓄えてください」と祈っています。詩人は、自分の涙が神によって、数えられ蓄えられていくことを知っています。ですから、恐れを抱くときがあっても、自分の心が動揺していても、神の守りの確かさを信じることができます。恐れのなかにあっても、神に「賛美」を献げることさえできるのです。