2010年10月12日(火)サムエル下18章 かなえられなかった願い


王はヨアブ、アビシャイ、イタイに命じた。「若者アブサロムを手荒には扱わないでくれ。」兵士は皆、アブサロムについて王が将軍たち全員に命じるのを聞いていた。(サムエル下18:5)

 アブサロムの率いるイスラエル軍がダビデを討とうと迫り、倒すか倒されるかという状況にあっても、ダビデは息子アブサロムが愛おしくてなりません(5節)。

 ダビデは、護衛軍の指揮をとるヨアブとアビシャイに、アブサロムの身の安全を頼みます。しかし、ダビデの願いに反し、ヨアブはアブサロムを、王に「危害を与えようと逆らって立った者」(32節)として殺してしまいます。これは、神の許可なく、ダビデを退けて王位に就こうとした者に相応しい結末です。

 しかし、ダビデは「わたしの息子アブサロムよ、わたしがお前に代わって死ねばよかった。…わたしの息子よ」(19章1節)と嘆きます。息子を失った悲しみを前にして、正直に、くずおれた姿を人びとの前に晒して憚りません。王にあるまじき言動かもしれません。

 このダビデの姿には心を打たれます。悲しみのなかで、「これも、神さまの御心だ」などと強がらなくてもいいのです。正直にあるがままに悲しんでもよいのです。主が慰めてくださるのを待ちつつ。