2013年6月13日(木)コヘレト4章 富に優る友


倒れれば、ひとりがその友を助け起こす。
倒れても起こしてくれる友のない人は不幸だ。(コヘレト4:10)

 コヘレトは一見、孤独です。人生が空しく感じられるのは彼が一人で悩んでいるせいではないかとさえ思えます。しかし、それは賢者の賢者たる所以でしょう。イスラエルの一人である彼は孤立してはいません。「ひとりよりもふたりが良い」と同労者を持つ喜びを知っています(9節)。

 互いに知恵を競って相手より上に立とうとし、力ある者が力のない者を見下す世の中では、誰もが不幸な孤立にさいなまれます。友も息子も兄弟もなく、ひたすら自分のために富を集めて苦労を重ねる男の空しい人生にコヘレトは触れています。自死を選ぶ大勢の人を生みだす先進国は、いったい誰のために苦労して経済の発展を目指すのかと、反省せずにはおれません。

 ライバルを蹴落としても昇進することを生甲斐にするような世間は空しいとコヘレトは悟ります。むしろ、倒れたとき、自分を助け起こす友がいてくれた方がいい。自分の栄光を捨て、死にゆく友を助け起こすために世に来られたキリストが、まさにそれを証しして幸福への道を指し示しています。