2014年10月8日(水) エステル3章 モルデカイの生き方


その後、クセルクセス王はアガグ人ハメダタの子ハマンを引き立て、同僚の大臣のだれよりも高い地位につけた。王宮の門にいる役人は皆、ハマンが来るとひざまずいて敬礼した。王がそのように命じていたからである。しかし、モルデカイはひざまずかず、敬礼しなかった。(エステル3:1-2)

 物語のレンズは、突如として、エステルのいる後宮から、モルデカイのいる王宮の門へと移されます。そこには、王に次ぐ最高権力者に昇りつめたハマンに、誰もがなびき、ひざをついている光景がありました。ただ一人、モルデカイを除いて。モルデカイは、周囲の声にも、王の命令にも耳を貸さず、立っています。その姿は、唯一の神だけを主とする、彼の信仰告白でした。

 エステルに対しては、彼女の身を案じ、ユダヤ人であることを伏せておくように伝えたモルデカイ。しかし、彼自身は、神の民であることを明らかにする生き方しかできませんでした。隠せませんでした。その結果として、民族全体が滅亡の危機にさらされます。モルデカイの態度に怒ったハマンが、それをモルデカイ個人ではなく、民族全体の問題として捉えたからです。

 私たちの生きる主な目的は何か。その問いに対する決断は、私たち一人一人の問題です。しかしそれは神の民全体の共なる問題でもあります。どうしても譲れないことがありますが、それによってもたらされる苦悩を、私たちは共に担い合います。