2014年10月13日(月) エステル4章 願い


「早速、スサにいるすべてのユダヤ人を集め、私のために三日三晩断食し、飲食を一切断ってください。私も女官たちと共に、同じように断食いたします。このようにしてから、定めに反することではありますが、私は王のもとに参ります。このために死ななければならないのでしたら、死ぬ覚悟でおります。」(エステル4:16)

 「死ぬ覚悟でおります」。少女は、そう発しました。

 ハマンが企て、王の権威により発布された「ユダヤ人絶滅計画」。悲嘆の涙が、瞬く間にユダヤの民の間に広がり、モルデカイは苦悩の叫び声をあげました。そして、その声は、一つの願いと共にエステルに届けられます。エステル自身が、王に「計画」の撤回を求めて、嘆願に行くこと。それがどれほど危険なことであるのか、モルデカイが知らないはずがありません。王から召されずに、王の前に出ることは死罪。それはペルシアの法律に定められていたことです。それでもモルデカイはエステルに求めました。

 エステルは決断します。しかし、その決断は孤独にはなされません。彼女は願いました。共なる人びとと一緒に、主の御前に断食し、祈ることを。それから、踏み出すことを。

 少女が大人になろうとしています。立ち上がろうとしています。苦悩がないはずがありません。しかし、彼女はその苦しむ姿を、人びとと共に、主の御前に差し出します。それが、共に生きることでした。緊迫の中、闇に思える中、共なる祈りの先に、神の民の新しい生が開かれていきます。