2005年6月19日(日)圧倒する罪から(詩編65:4)

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。

 今朝は旧約聖書詩編の第65編の言葉です。

 「罪の数々がわたしを圧倒します。 背いたわたしたちを あなたは贖ってくださいます。」

 聖書の世界に生きる人々が持っている感覚の中で、もっとも理解しがたい感覚は、罪に対する過敏なまでの意識かもしれません。

 「罪の数々がわたしを圧倒します」ときょうの詩編の作者は記しています。罪の数々に負けてしまうと言えば、よほど意志の弱い人間か、よほどの悪人かと思ってしまうかもしれません。しかし、この詩を歌っているのは、どこにでもいるような普通の人なのです。ただ、違うのは、研ぎ澄まされた良心をもって、いつも自分の思いと言葉と行いを洞察していることです。神の前に自分がどれほど不完全であるかを知っていることです。

 けれども、これほどまでに絶えず自分を完璧な基準で計っていると、やがては自信を失って息苦しくなってしまうのではないかと心配してしまいます。

 しかし、聖書の世界に生きる人々が持っているもう一つの不思議な感覚に、「罪が赦されている」という平安と喜びがあります。この詩編の作者は圧倒する罪の力に立ち直れないほどの打撃を受けることはありません。人間の心に巣くう罪の闇がどれほど深いとしても、それにもまさる神の愛を知っているからです。どんなに小さな罪をも見過ごさない神は、しかし、どんなに大きな罪をも覆う慈しみ深いお方なのです。

 それではきょうもあなたの上に主の平安が豊かにありますように。