2005年7月10日(日)悪人を羨むな(詩編73:3)

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。

 今朝は旧約聖書詩編の第73編の言葉です。

 「神に逆らう者の安泰を見て わたしは驕る者をうらやんだ。」

 正直者が馬鹿を見る世の中、不正と不公平がいつまでもはびこる社会、そんな中で真面目に生き続けることはとても難しいことです。

 この詩編の作者は、不正や悪巧みを働く者たちが、一向に絶えないどころか、かえって羽振りもよく、苦しみにも悲しみにも遭わないのを見て、今にも躓きそうになってしまいました。それもそうでしょう。こんな不条理がまかり通る世の中なら、真面目に生きていくことが馬鹿らしくなってしまいます。

 人生は不条理に満ちています。正義よりも不正の方が力強く見えることもあります。正直に生きていることが、何にも意味のないことのように感じられることもあります。

 しかし、この詩編の作者は真面目で正直な生き方を正に放棄してしまおうと思ったそのときに、この不条理の意味を知りたいと思い、神の神殿を訪れたのです。そこでこの詩編の作者が悟ったことことは、神がこの不条理な世界に終わりを用意しているということでした。「神も仏もあるものか」と言って捨て鉢な人生を生きることは簡単です。しかし、この詩編の作者は、不条理に苦しむ最中に、あえて神を尋ね求め、人生に対する確信を得たのでした。

 それではきょうもあなたの上に主の平安が豊かにありますように。