2007年1月7日(日)主人を失った人間(詩編12:5)

おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
今朝は旧約聖書詩編の第12編5節の言葉です。

「舌によって力を振るおう。 自分の唇は自分のためだ。 わたしたちに主人などはない。」

この言葉は、ここだけを切り離して読むと、随分と威勢のよい言葉です。自由を謳歌する現代の誰もが口にしそうな言葉です。自分が自分の主人であり、自分の上に誰も立つ者がいないということは、究極の自由です、

「自分の唇は自分のためだ。わたしたちに主人などはない」
ところが、この言葉を言っているのは、善良な自由人では決してないのです。まさに自分を律するものを何も持たない恐るべき罪人の台詞です。やりたい放題、したい放題で、貧しい者や弱い者を食い物にしているのです。その結果、正義は踏みにじられ、貧しい者が喘ぎ苦しんでいるのです。
そんな悪い時代を描いたこの詩編はこう全体を結んでいます。

「主に逆らう者は勝手にふるまいます 人の子らの中に 卑しむべきことがもてはやされるこのとき。」
残念ながら「わたしたちに主人などはない」などと豪語しながらも、主人を失った人間は結局のところ卑しむべきものの奴隷になっているのです。自分を律するものを持たない人間は卑しむべきものをもてはやし、隣人への愛も憐みも捨て去ってしまっているのです。