熊田なみ子のほほえみトーク 2012年1月24日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会149「こわがる王の不興をかったバラム」

 イスラエルの民は、アモリ人の二人の王、シホンとオグを征服した後、しばらくモアブの平野に落ち着きました。ここはよく肥えた草地で、羊や牛のための牧草がたくさんあります。ぶどうやオリーブといった好きな果物がほしいだけあります。こういた肥沃の地に住むことは、イスラエルにとってとても楽しいことでした。
 彼らの前にはヨルダン川があります。陣営のうしろには、山や高い丘が幾つかあります。その一つはピスガと呼ばれ、一つはネボという山でした。これらの山の頂上からイスラエル人の天幕が海のようにあらゆる方向に散らばっているのが見えます。彼らが今いるところは、ミデアンという民族がいました。この人たちは一定のところに住みつかないでジプシーのように放浪する民でした。今のところ彼らは、その王バラクのもとにモアブに住んでいました。

 バラク王はもう随分前から、イスラエル人の事を聞いていました。何度もミデアン人の神バアル・ペオルよりもはるかに強い、イスラエルのすばらしい神についての情報を彼は聞いていました。バラクは、イスラエル人の神がエジプトに恐ろしい災いをもたらしたこと、イスラエル人に紅海を渡らせ、エジプトの軍勢を滅ぼさせたことを聞いていました。
 今度は、シホンがイスラエル人と戦ったが、シホンもその民もみな殺しにされたことを知り、またあの巨人オグもその民と一緒に殺されたことも聞きました。そして今、このイスラエル人が自分たちの国に入ってきたではありませんか。バラクは大変恐れ、彼の部下も同じように恐れました。どうしたらよいのでしょう。彼らと戦ったところで無駄でしょう。シホンとオグは戦って殺されてしまいました。イスラエルの神は非常に強いのでその民を必ず助けることでしょう。いや、このイスラエルの大勢の人々を追い出す方法を他に考えなければなりません。どうすればイスラエル人に勝てるか、バラクは一生懸命に考えていると一つの案が浮かびました。

 前にも言いましたようにバラクとその民は、転々と住むところを変えています。彼らはかつてあの大きなユフラテ川が流れているアッシリヤの国に住んだこともあります。バラクはこの国にバラムという主の預言者が一人住んでいることを知っていました。バラムはイスラエル人ではありませんでした。どのようにして彼が真の神の預言者になったかわかりません。真の神を礼拝する人が幾人かまだいたのでしょうか。バラクは自分がかつて住んでいた遠い国に使いをやり預言者バラムを呼んできて、イスラエルの民を呪わせようと考えました。そこは350マイル以上も離れているので、使いの者がろばに乗って行っても一週間はかかります。

 やがて使いの者はバラムの住むペトルに着きました。彼らは預言者にバラクのメッセージを伝えました。そして、もしバラムがイスラエル人を呪えば、そのお礼として豪華な土産を用意して持ってきていました。バラムは彼らを一晩泊まらせました。そして、バラクの要求するように、使いの者と一緒に行き、イスラエル人を呪ってよいものかどうか主にたずねてみると彼は言いました。
 夜、神様はバラムに「あなたは彼らと一緒に行ってはならない。彼らは祝福された者だからである。」と言われました。
 朝になるとバラムは「あなたがたは国にお帰りなさい。主は私があなたがたと一緒に行くことをお許しになりません。」と使いの者に言いました。使いの者はバラク王のもとに戻り「バラムは私たちと一緒に来ることを承知しません。」と伝えました。

 バラクは必死でした。彼は最初の使いに出したつかさたちよりも高い身分のものを送り、バラムがイスラエル人を呪いさえすれば、バラムの言うとおりになんでもすると約束しました。これに対しバラムは「たといバラクがその家に満ちるほどの金銀を私に与えようとも、事の大小を問わず私の神、主の言葉を越えては何もすることができません。」と答えました。バラムは神様の預言者でしたが神様を愛していませんでしたし、神様を喜ばせたくもありませんでした。しかし、彼は神様を畏れ、神様の言いつけにそむこうとはしませんでした。それでいて使いの者と一緒に行って、王の約束する褒美をもらいたかったのです。バラムは行ってイスラエル人を呪うことは神様の願うところではないことを知っていました。彼はつかさたちに帰るように言うべきでした。

 しかし彼は「あなたがたは今夜ここに留まって、主が私に何と仰せられるかを確かめさせてください。」と言いました。夜、神様はバラムに、つかさたちと一緒に行ってもよいが神様の言うことだけを伝えるように言われました。そこで、朝になるとバラムはろばに鞍を置き使いのものと共に出かけました。神様はこの預言者に事を怒っておられました。神様が彼を行かせたくないことぐらいバラムはよくわかっていたのです。神様はバラムを懲らしめるために天使をおつかわしになりました。
 バラムの乗っていたろばは道にふさがっている天使を見たので道を離れて畑におりました。しかし、バラムには天使が見えなかったため、彼はろばを道に戻そうとろばを打ちました。そこで天使は今度は道の両側の石垣のあるところに立ちました。ろばがそこまで来て天使を見ると、恐れてできるだけ石垣に寄りました。バラムは足を石垣にすりつけられてしまいました。剣を手にしている天使の見えないバラムは、ろばを大そう怒り、足が痛むのでつえでろばをひどく打ちました。
 天使は今度は右にも左にも曲がる余地の無い大そう狭いところに立ちました。そこまで進んで剣を抜いて立っている天使を見たろばは、バラムの下に伏してしまいました。ろばがこんなことをするのでバラムは激しく怒り、可愛そうなろばの背中を立て続けに打ちました。そこで神様はろばの口を開き、ろばに「わたしがあなたに何をしたというのですか。あなたは三度も私を打ったのです。」と言わせられました。バラムは、「おまえが私を侮ったからだ。私の手に剣があれば今お前を殺してしまうのだが」と言いました。ろばは、「私は良いろばではありませんか。今までにあなたに従わなかったことがありますか。」とたずねました。バラムは「いや」と答えました。 

 そこで主はバラムの目を開かれました。そしてバラムも手に剣を持っている天使を見ました。彼はおそれてこうべをたれ、ひれ伏しました。天使は、「なぜあなたは三度もろばを打ったのか。あなたが誤った道をいくので私はあなたを妨げようとして出てきたのだ。ろばは私を見て三度も身をめぐらして私を避けた。もしろばが身をめぐらして私を避けなかったなら、私はきっと今あなたを殺してろばを生かしておいたであろう」と言いました。
 バラムは自分が使いのものと一緒に行くことが間違っていることを知っていました。そして、神様は行ってよいと許可されたものの行かせたくはないことも知っていました。バラムは謙遜に「私は罪を犯しました。あなたが私を留めようとして道に立ちふさがっておられるのを私は知りませんでした。それで今、もしお気に召さないのであれば私は帰りましょう。」と言いました。「いや、この人と一緒に行きなさい。但し私が告げることのみを述べなければならない」と天使は言いました。

 バラク王は、バラムが本当に来るかどうか心配しながら待っていました。バラムが来ると聞いて大そう喜び出迎えに来ました。彼はバラムに「私は人を遣わしてあなたを招いたではありませんか。あなたはなぜ私のところに来ませんでしたか。私は実際にあなたを優遇することが出来ないでしょうか。」と言いました。バラムは、「ご覧なさい。私はあなたのところに来ています。しかし、今何事かを自分から言うことができましょうか。私はただ神が私の口に授けられることを述べなければなりません。」と答えました。

 翌日、バラク王は、バラムと一緒に高い丘に登り、イスラエル人の天幕があらゆる方向に張られている光景を見せました。それから家来たちに祭壇を七つの丘に作り、いけにえのために七頭の雄牛と雄羊を持って来るように命じました。バラムは雄牛と雄羊を一頭ずつ各祭壇に捧げました。捧げものが終わるとバラムはバラク王に「あなたはこのいけにえの側に立っていてください。私は少し先に行きます。主はあるいは私に語ってくださるかもしれません。」と言いました。
 神様は、バラムに会いバラク王に告げられることを伝えられました。預言者は、王やつかさたちが待っている所に戻りました。バラムはまたバラクを失望させました。彼は、「祝福せよとの命を私は受けた。既に神が祝福されたものを私は変えることが出来ない。」と言いました。バラク王は何とがっかりしたことでしょう。彼は、「あなたは彼らを呪うことも祝福することもやめてください。」と言いました。バラムは、「主の言われることは何でもしなければならないと私はあなたに告げませんでしたか。」と答えました。  くまだなみこ

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