キリストへの時間 2021年5月23日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

久保浩文(松山教会牧師)

久保浩文(松山教会牧師)

メッセージ: キリストの証人とは

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 おはようございます。松山教会の久保浩文です。
 新緑の5月です。松山市に住んでから日課にしている朝の散歩コースに道後公園があります。有名な道後温泉本館から南に位置する道後公園は、湯築城跡公園とも呼ばれます。湯築城は、かつて1300年初め頃に伊予の国の守護大名であった河野通盛(かわのみちもり)によって築城されました。明治以後、道後公園として整備され、最近の発掘調査で国の史跡に指定され、日本100名城の一つに選定されました。

 かつて天守に近い建物があったであろう小高い丘の上に小さな展望台があります。公園の入り口から展望台までは、緩い坂道を10分程上ると到着します。するとうっすらと額が汗ばんできますが、冬場は冷たい風に、最近は初夏の若葉の香りを運んでくる涼しい風に、自然と心が和らぎます。時折突風に煽られることもありますが、そんな時、かつて弟子たちの上に、激しい風と共に聖霊が降ったことを想い起こします。

 復活のイエス・キリストは、天に昇られる前に弟子たちに「聖霊による洗礼」、すなわち聖霊が降ることを約束されました。「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。」(使徒1:8)ご自分の代わりに遣わされる聖霊は、弁護者、助け主、慰め主として、これからキリストの証人として働く弟子たちにとって、神からの力です。さらに主イエスは、聖霊を受けると「エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」(使徒1:8)と言われました。そしてイエスは、弟子たちが見ているうちに天に上げられました。

 イエスが天に昇られた後、エルサレムに戻った弟子たちは「泊まっていた家の上の部屋」(使徒1:13)に上がりました。そこは彼らにとって、神を礼拝する場所であり、祈りをささげる場所でした。ペトロやヨハネといった主な弟子たちをはじめ、婦人たちもここで「心を合わせて熱心に」(使徒1:14)祈る日々を過ごしていました。

 すると主イエスの約束どおり「五旬祭」、丁度今の季節の頃にそれは起こりました。「一同が一つになって集まっていると突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。」(使徒2:1-2)のです。激しい音と共に降ったのは主の聖霊でした。「すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話し始め」(使徒2:4)ました。これまで臆病で気の弱かった弟子たちも、聖霊に満たされ、様々な恐れからも解き放たれて、言葉を与えられて話を始めました。

 かつてイエスは「何をどう言い訳しようか、何を言おうかなどと心配してはならない。言うべきことは、聖霊がそのときに教えてくださる。」(ルカ12:11-12)と言われました。言うべきこと、それは主イエス・キリストの福音です。教会は、聖霊の働きによってキリストに結び合わされた者の集まりです。たとえ一人ひとりは小さく弱い器ではあっても、そこに臨在してくださるキリストによって罪の赦しと新しい命と力を与えられて、新たな一週間の働き場所へと派遣されていきます。

 私たちにとっては、その日に出会った人、遣わされた場所が「地の果て」なのであり、キリストを証しする場所なのです。たとえ、万の言葉であえて語ることはしなくても、キリストの教えに従ってその日その日を生きることが、周囲の人に「キリストを知るという知識の香りを漂わせる」(2コリント2:14)ことになります。聖霊がそれを可能にしてくださるのです。



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