絶えることなく敵の圧迫が続く。ひたすら逃避行を繰り返しても、心が騒がない時は一秒も無い。苦しい…。しかし、そのような「恐れをいだくとき」にこそ、はじめて詩人の「信頼」は立ち上がります。極限状況のなかで、自分はどこに拠り所を置いて生きていけばよいのかという自問自答は研ぎ澄まされて、心は人間の力の及ばぬ方へと向かいます。決して我を見捨てず、万事を益としてくださる神への「信頼」が深められ、圧倒的な「恐れ」のなかで、詩人は命の光を見出します。恐れをいだくとき
わたしはあなたに依り頼みます。
神の御言葉を賛美します。
神に依り頼めば恐れはありません。
肉にすぎない者が
わたしに何をなしえましょう。(詩編56:4-5)