憐れみに満ちた主の眼差し | ルカによる福音書 22章

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ルカによる福音書 22章

ペトロは、「あなたの言うことは分からない」と言った。まだこう言い終わらないうちに、突然鶏が鳴いた。主は振り向いてペトロを見つめられた。日本聖書協会『聖書 新共同訳』 ルカによる福音書 22章60節~61節

憐れみに満ちた主の眼差し

捕らえられ、大祭司の屋敷に連れて行かれた主イエスのあとを、ペトロは追いかけました。屋敷の中庭に座っていると、「あなたもイエスと一緒にいましたね」と指摘され、ペトロはとっさに「わたしはあの人を知らない」と答えてしまいます(57節)。反射的に出た言葉だったのかもしれません。しかし、二度目、三度目の否認の言葉は、決して反射的に出た言葉ではないでしょう。自分の言葉で「わたしはイエスの仲間ではない」と否定したのです。

その時、突然鶏が鳴き、「主は振り向いてペトロを見つめられた」と記されます。主イエスはどのような眼差しをペトロに向けたのでしょうか。「あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい」と予め語っておられた主イエスです(32節)。ペトロを責めるような眼差しではなかったはずです。「お前はここから立ち直るんだぞ。他の兄弟たちを頼んだぞ」。そういう憐れみに満ちた眼差しではなかったでしょうか。ペトロは泣き崩れたのでした。

「どん底に大地あり」。長崎で被爆した医師、永井隆の言葉です。どん底に落ちて、主の憐れみを知った者だけが、ようやく始めることのできる地に足をつけた歩みがあります。どん底こそ、新しい夜明けなのです。

【祈り】

いつも自分の弱さに倒れる者たちです。主の憐れみがきょうのわたしを支えてくださいますように。

小橋口 貴人(那加教会)