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詩編96編
「新しい歌を歌おう」


新しい歌を主に向かって歌え。
全地よ、主に向かって歌え。
主に向かって歌い、御名をたたえよ。
日から日へ、御救いの良い知らせを告げよ。
(詩編 96編1節~2節)

 旧約聖書がギリシア語に翻訳されたとき、この詩編には「捕囚の後、家が建てられた時の詩」という表題がつけられました。バビロン捕囚という苦しい歴史を経験した人びとは、この詩を歌うことで、心を高く上げて「捕囚の後」の新しい時代へと歩み出します。この詩編は、まさに厳しい時代に耐えてきた民だからこそ歌うことのできる「新しい歌」でした。

 神の民が歌う「歌」は、時代に風穴を開けます。呻きと嘆き、悲しみと絶望に覆われてしまいそうな世界の真ん中に風穴を開けて、主が王として固く据えられる新しい世界の到来を告げ知らせます(10節)。また、人びとはこの詩を歌いながら、ありとあらゆるものを、あるべき状態に戻してくださる主の裁きを待ち望みました(13節)。

 私たちも、新しい歌を主に向かって歌いましょう。血を流して苦しむ世界の只中で、希望の歌を歌い続けましょう。見るものすべて、聞くことすべてが神への賛美となる。そのような新しい世界がもたらされることを待ち望みつつ、「国々にふれて言え、主こそ王と」(10節)。

小橋口 貴人(那加教会)

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