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創世記22章
「アブラハム(3)試練を超える信仰」


アブラハムは答えた。
「わたしの子よ、焼き尽くす献げ物の小羊はきっと神が備えてくださる。」
(創世記 22章8節)

 神の真実をひたすら信じて歩んできた者が、試みを受ける。聖書が最初に描く信仰者の試練。それが本章の主題であり、アブラハム物語のクライマックスです。

 神の約束によって奇跡的に与えられたイサクを単にささげよと言うだけでなく、「あなたの愛する子」を焼き尽くす献げ物としてささげよという、前代未聞の要求です。

 この要求にアブラハムは無言の内に従って、息子イサクと旅に出ます。旅の途中の何気ない親子の会話から、互いの深い関係が見事に描かれています。

 献げ物の小羊を持参していないことに気づいて健気にも尋ねるイサクに、「きっと神が備えてくださる」と語るアブラハムの答えは、全能の神に対するギリギリの信仰告白と言えましょう。

 信仰者としてのアブラハムの人生は、行く先もわからずに主の言葉に従ったことから始まりました。そして今、人生最後最大の試練の時にも、彼は「神の命じられた所に向かって」行くのです。

 信仰の歩みは理屈ではありません。理由はわからずとも、ひたすら神に信頼し続けること。自分に与えられている一切は神のものであると信じ切ることです。

 

 【祈り】

 神様。自分に与えられているものすべてを、決して握りしめないようにさせてください。

吉田 隆(甲子園伝道所)

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