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コヘレト1章3-11節、12章3-7節
「大地に帰り神のもとに帰る」


塵は元の大地に帰り、霊は与え主である神に帰る。
(コヘレト 12章7節)

 太陽の下なされるあらゆる労苦は、人に何の益をもたらすのか。そう問いかけたコヘレトは、自然の営みの持続、山河の水の循環を歌います。それとは対照的に、人の営みの限界、後の世代との断絶も歌います。労苦の結果が山河の水のように循環することはなく、労働の業績が自然の営みのように持続することもない。

 彼が述べるのは、ノアの洪水後の世界における神の摂理です。「地の続くかぎり、種蒔きも刈り入れも、寒さも暑さも、夏も冬も、昼も夜も、やむことはない」(創8章22節)。しかしなお人は「顔に汗を流してパンを得る。土に返るときまで」(創3章19節)。土から取られ、塵にすぎない人は、塵に返る定めです。

 コヘレトと同時代を生きる人びとは、戦時下にあって、善人が早死にし、悪人が長生きする秩序の混乱を見ています。伝統的な因果応報思想では説明がつきません。生きることも愛することもあきらめかけている同胞に、コヘレトは神の摂理を想い起こさせます。自然の営みに比べれば、人生は瞬く間に過ぎ去る。あらゆる労苦は、人に何の益をもたらすのか。土の塵が元の大地に帰り、命の息がそれを与えた神のもとに帰る。その日はすべての人に訪れる。これこそ労苦のもたらす益なのだと。

 

 【祈り】

 愛なる主よ、荒れ野で飢え渇き、死を見つめ労苦された方よ、あなたに訪れた益を見させたまえ。

二宮 創(太田伝道所)

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