キリストへの時間 2006年3月5日放送    キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ: 「不安からの解放」

 おはようございます。山下正雄です。

 不安な気持ちというのは、生きていく上で何度となく経験するものです。準備万端で臨んだことにひょっとしたら手抜かりがあるのではないかという不安。物事が自分の予想通りにはうまくいかないのではないかという不安。病気になるかもしれない不安。病気が治るかどうかの不安。子どもが無事に生まれてくれるかどうかの不安。子どもが無事に育ってくれるかどうかの不安。自分の将来の先行きが不透明な不安。例を挙げだしたらきりがないくらい、わたしたちの生活には不安に感じる事柄が満ちています。それは、何よりも人間には将来を見通せる能力がないからです。もちろんある程度の予測はできるかも知れません。しかし、確実に予測できるのはせいぜい目先の事ぐらいです。いえ、それすら予想外の事態が起らないとは限りません。だからこそ不安の種は尽きないのです。

 しかし、もし、仮にわたしたちの将来が、一寸先のことから遠い将来のことまで、全部わかってしまったら、もう不安など感じなくなるでしょうか。わたしが、この放送が終わったあと15分して交通事故に遭い、命には別状はないものの、入院生活を1ヶ月間送ることになる…こんなことが予め詳しく知らされていたとしても、それで不安が消え去るわけではありません。消え去るどころか、かえって不安は増すばかりです。知らないからこそ安心していられる事だってあるのです。

 しかし、ほんとうにわたしたちが不安から解放されて生きていくために必要なのは、将来自分に起ることを知ることでもなければ、それを知らされないことでもないのです。そうではなく、わたしが生まれる前から、そして死んだ後にもわたしと関わりをもってくださるお方がいるということ、そういうお方がいらっしゃることを知ることなのです。

 初代教会でもっとも活躍したパウロという人は、ローマの信徒に当てた手紙の中で、こんなことを言いました。

 「だれが、キリストの愛からわたしたちを引き離すことができましょう。艱難か。苦しみか。迫害か。飢えか。裸か。危険か。剣か。『わたしたちは、あなたのために一日中死にさらされ、屠られる羊のように見られている』と書いてあるとおりです。しかし、これらすべてのことにおいて、わたしたちは、わたしたちを愛してくださる方によって輝かしい勝利を収めています(ローマ8:35-37)。

 パウロは自分の身の上に将来起るかもしれない細々としたことを知っていたのではありません。いえ、わたしたちと同じようにほとんど何も知らなかったことでしょう。しかし、一つだけ大切なことを知っていました。それは、どんな苦しみの中にあってもキリストの愛から引き離されることはないという事実です。聖書の神はわたしが豊かな時に祝福し、貧しさのどん底で突き放すようなお方ではありません。わたしが健康なときに祝福し、病に臥した時に去ってしまうお方ではないのです。そうではなく、貧しい時にも病の時にも、わたしを愛し、わたしと共にいてくださるお方なのです。その神の愛を知る時にだけ、わたしたちの心は不安な思いから解き放たれるのです。だれも、神の愛に触れるまでは心にまことの平安をいただくことはできないのです。

 パウロは書きました。「わたしたちは、わたしたちを愛してくださる方によって輝かしい勝利を収めています」

 わたしたちを愛してくださる聖書の神と出会ったときにこそ、人間はもっとも勝利に輝き心を安んじて過ごすことができるのです。

Copyright (C) 2006 RCJ Media Ministry All Rights Reserved.