BOX190 2008年5月7日(水)放送     BOX190宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下 正雄 (ラジオ牧師)

山下 正雄 (ラジオ牧師)

タイトル: 聖書って? 神奈川県 Y・Oさん

 いかがお過ごしでいらっしゃいますか。キリスト改革派教会提供あすへの窓。水曜日のこの時間はBOX190、ラジオを聴いてくださるあなたから寄せられたご質問にお答えするコーナーです。お相手はキリスト改革派教会牧師の山下正雄です。どうぞよろしくお願いします。

 それでは早速きょうのご質問を取り上げたいと思います。今週は神奈川県にお住まいのY・Oさん、女性の方からのご質問です。お便りをご紹介します。

 「山下先生、はじめまして。ネットでこの番組を知り、時々覗かせてもらっています。
 わたしはクリスチャンではありませんし教会にも行ったことがありません。ただホームページで番組が聴けたり、お話の原稿を読んだりできるので気軽にこちらのホームページにお邪魔させていただいてます。
 さて、キリスト教のことについては何も知らないわたしですので、質問も変な質問で申し訳ありません。聖書っていっぱいあるようですが、その概要と一覧と関係について教えていただけるとありがたいのですが、よろしくお願いします。」

 Y・Oさん、メールありがとうございました。お便りを読ませていただいて。ネットでキリスト教に出会うということが世の中当たり前になってたんだなぁと、ちょっと感慨深いものを感じてしまいました。
 実はこの番組が始まったのは海外からの日本向けラジオ放送が最初でした。それも中波と短波の二本立てでした。その当時は海外放送に耳を傾けるラジオ放送愛好者たちが大勢いましたから、その中からたくさんの人たちが聖書と出会い、教会へいってクリスチャンになりました。わたし自身がクリスチャンになったのも丁度その頃の時代です。
 さて、わたしたちの番組がホームページからも聴けるようになったのはこの7月で丸11年になります。こんなにもインターネットが急速に普及するとは思いもしませんでしたし、まして、今までまったく聖書に触れることがなかった方たちが、インターネットを通して聖書に触れる機会をこんなにも得るようになるとは想像もしていませんでした。
 なんだか話が横道にそれてしまいましたが、お便りを読ませていただいて、そんな嬉しい気持ちにさせていただきました。ありがとうございます。

 ところでY・Oさんは「変な質問」とご自分の質問のことをおっしゃっていますが、どんな質問でもネットを通して気軽にやり取りできるのもインターネットの世界ならではのことと思います。さっそく本題に入っていきたいと思います。

 まず、ご質問の中に出てきた「聖書っていっぱいあるようですが」という部分に関してですが、短いメールでのご質問ですので、そこの部分の意味がよくわかりませんでした。それでメールを読ませていただいて三つほどのことを思い浮かべました。
 先ず一つは翻訳された聖書の種類のことをおっしゃっていらっしゃるのかと思いました。ちょっと大きな本屋さんに行けば数種類の翻訳の聖書が並んでいます。装丁の違いも含めると何種類もの聖書が並んでいることもあります。Y・Oさんが神奈川県のどこにお住まいなのかは分かりませんが、横浜あたりの大きな本屋さんならば選択肢はたくさんあるはずです。
 どの翻訳聖書にも一長一短はありますから、一概にどれが優れているとは言えるものではありません。しかし、もしこれから教会に行く機会があるのでしたら、その教会が使っている聖書をお買い求めになるのが一番良いでしょう。

 二つ目のことは、それと関連してですが、本屋さんで見かける聖書をよく見ていただくと、翻訳や装丁の種類の他に、厚みにもかなりの違いがあることがすぐに分かると思います。プロテスタントのキリスト教会で『聖書』というときには旧約聖書と新約聖書の両方をあわせて『聖書』と呼んでいます。大抵は旧約聖書と新約聖書は合本になって売られています。けれども本屋さんには新約聖書だけ売っている場合もあります。ごく稀にですが旧約聖書だけのものもあります。さらによく見ていただくと、「旧約聖書続編つき」と書かれた聖書も売られています。
 この「旧約聖書続編」という呼び方は日本独特の呼び方と内容です。普通は「旧約聖書外典」とか「アポクリファ」とか「第二聖典」などと呼ばれています。プロテスタントの教会ではアポクリファは聖書の中には含めません。カトリック教会と聖公会ではアポクリファにも聖書に等しいある種の権威を認めますが、ただし、何がアポクリファであるかは聖公会とカトリックでは中身が違いますので、新共同訳聖書では「旧約聖書続編」という言い方でその部分を扱っています。

 話がややこしくなってきましたが、大雑把に言うと、旧約聖書は天地万物を神がお造りになってからイエス・キリストが登場する前の時代までのことが扱われています。特に神の民であるイスラエル民族の歴史が中心に据えられています。
 それに対して、新約聖書はイエス・キリストのご生涯と教えを記した福音書とキリストの弟子たちの働きと教えを記した使徒言行録といくつかの手紙から成り立っています。
 旧約聖書続編というのは、旧約時代と新約時代の中間の時代の歴史を主に記した書物です。先ほども言いましたが、プロテスタント教会ではこの部分を聖書の中には含めていません。普通の古代歴史書や文学書と同じ扱いです。

 さて、最後に三番目ですが、おそらくご質問の意味は、この最後の点に関してだろうと思います。
 Y・Oさんはわたしたちのホームページで番組を聴いたり原稿を読んでくださっていらっしゃるようですが、聖書からの言葉として引用したときに、○○書とか○○の手紙とか、いろいろな名前が出てきます。中には似たような名前もたくさんあります。たとえばヨハネという名前のついたものは、「ヨハネによる福音書」「ヨハネの手紙」「ヨハネの黙示録」とあります。
 聖書はいってみれば図書館の本棚のようにいくつもの書物が並んで一冊の本なのです。旧約聖書は39巻、新約聖書は27巻、あわせて66巻です。
 先ほどもちょっとだけ触れましたが、旧約聖書はほとんどがイスラエル民族の歴史です。ただ歴史といっても神がこのイスラエルとどう関わってこられ、救い主をこの民族からどう生まれさせるのかという救いの歴史です。
 それにたいして、新約聖書の方は旧約聖書で約束されてきたことがイエス・キリストを通して実現したその出来事が記されています。また、それに伴って新しく示された神の教えが記されているのです。

 聖書にはいろいろな読み方があるとは思いますが、先ずは理屈抜きで旧約聖書と新約聖書を流れる一貫した歴史の流れが分かるような読み方をしてみてください。

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