ご機嫌いかがですか。キリスト改革派教会がお送りする「聖書を開こう」の時間です。今週もご一緒に聖書のみことばを味わいましょう。この時間は、キリスト改革派教会牧師の山下正雄が担当いたします。どうぞよろしくお願いします。
かつて復活された主イエス・キリストは、弟子たちにこうおっしゃいました。
「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」
この言葉を聞かされた弟子たちは、その時には言葉の意味を実感できなかったかもしれません。聖霊が降るということも、復活のキリストの証人となるということも、どちらも経験したことがないことですから、無理もありません。
しかし、すでに学んだように、弟子たちはその後、聖霊が自分たちの上に降ることを経験しました。そして、復活のキリストがお語りになった通り、証人としての務めを果たすようになりました。それも、以前なら逃げ出してしまうような困難な状況の中にあっても、ためらうことなくその務めを果たすようになりました。
きょう取り上げる個所は、エルサレムで力強く復活のキリストを証しする使徒たちの姿を描いています。
それでは早速今日の聖書の個所をお読みしましょう。きょうの聖書の個所は新約聖書使徒言行録 5章17節〜32節までです。新共同訳聖書でお読みいたします。
前回の個所では、使徒たちの手によって多くのしるしと不思議な業とが行われていたことを学びました。その結果、ますます多くの者が主を信じるようになる様子がそこには描かれていました。しかも、使徒たちが集まっていた場所は、神殿の境内にあるソロモンの回廊と呼ばれる場所でした。大祭司とその仲間のサドカイ派の人たちにとっては、まさに自分たちの庭先で、挑発的な集会を開いているとしか思えなかったのでしょう。今回の個所の出だしは、こう始まります。そこで、大祭司とその仲間のサドカイ派の人々は皆立ち上がり、ねたみに燃えて、使徒たちを捕らえて公の牢に入れた。ところが、夜中に主の天使が牢の戸を開け、彼らを外に連れ出し、「行って神殿の境内に立ち、この命の言葉を残らず民衆に告げなさい」と言った。これを聞いた使徒たちは、夜明けごろ境内に入って教え始めた。一方、大祭司とその仲間が集まり、最高法院、すなわちイスラエルの子らの長老会全体を召集し、使徒たちを引き出すために、人を牢に差し向けた。下役たちが行ってみると、使徒たちは牢にいなかった。彼らは戻って来て報告した。「牢にはしっかり鍵がかかっていたうえに、戸の前には番兵が立っていました。ところが、開けてみると、中にはだれもいませんでした。」この報告を聞いた神殿守衛長と祭司長たちは、どうなることかと、使徒たちのことで思い惑った。そのとき、人が来て、「御覧ください。あなたがたが牢に入れた者たちが、境内にいて民衆に教えています」と告げた。そこで、守衛長は下役を率いて出て行き、使徒たちを引き立てて来た。しかし、民衆に石を投げつけられるのを恐れて、手荒なことはしなかった。
彼らが使徒たちを引いて来て最高法院の中に立たせると、大祭司が尋問した。「あの名によって教えてはならないと、厳しく命じておいたではないか。それなのに、お前たちはエルサレム中に自分の教えを広め、あの男の血を流した責任を我々に負わせようとしている。」ペトロとほかの使徒たちは答えた。「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません。わたしたちの先祖の神は、あなたがたが木につけて殺したイエスを復活させられました。神はイスラエルを悔い改めさせ、その罪を赦すために、この方を導き手とし、救い主として、御自分の右に上げられました。わたしたちはこの事実の証人であり、また、神が御自分に従う人々にお与えになった聖霊も、このことを証ししておられます。」