あさのことば 2013年5月29日(水)放送    あさのことば宛のメールはこちらのフォームから送信ください

三川栄二(稲毛海岸教会牧師)

三川栄二(稲毛海岸教会牧師)

メッセージ: 憂い

 いかがお過ごしですか。三川栄二です。わたしはあれこれと思い悩むことの多い人間なのですが、思い詰めて心が一杯になると、よく行く場所があります。相田みつを美術館で、相田さんの詩を読みながら、自分の心を見つめなおすのです。

 特に好きな中に『憂い』という詩があります。こんな詩です。
 「むかしの人の詩にありました。君、看よ、双眼のいろ、語らざれば憂い無きに似たり。憂いがないのではありません。悲しみがないのでもありません。語らないだけなんです。語れないほどふかい憂いだからです。語れないほど重い悲しみだからです。人にいくら説明したって、全くわかってもらえないから、語ることをやめてじっとこらえているんです。文字にもことばにも、到底表せないふかい憂いを、おもいかなしみを、こころの底ふかくずっしりしずめて、じっと黙っているからまなこが澄んでくるんです。澄んだ眼の底にある、ふかい憂いのわかる人間になろう。重いかなしみの見える眼を持とう」。

 深い悲しみを心の奥底にじっと蓄える中で、心のまなこが澄んでいく、そんな人間になりたい。そして人の深い悲しみを受けとめていける、人の悲しみが見える、そんな深い心を持った人間になりたい。今抱えている憂いは、自分の心の目を深く澄んだものにしていくための悲しみなのです。

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