キリストへの時間 2013年5月5日(日)放送 キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ: こどもの日

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
 きょう5月5日はこどもの日です。もともとの由来はともあれ、我が国の「国民の祝日に関する法律」にはこの日を定めて「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」とあります。子供にも人格があり、子供にも幸福を求める権利があると考えるのは、今では世界の常識となっています。

 しかし、現実には、わたしたちの国、日本においてさえも、すべての子供が一人の人格ある存在として尊ばれているか、というと必ずしもそうではありません。親によって虐待を受けている子供のニュースは絶えません。いじめを受けながら、大人の都合で明るみに出ない悲しい事件が後を絶ちません。教育の名のもとに、体罰が行われている現実は、決して昔のはなしではありません。

 5月5日は、素朴に、わが子の健やかな成長を願う日であるばかりではなく、一人の人格として重んじられない子供たち、幸福から疎外されている子供たちのことを深く覚える日でありたいと思います。責任ある大人がこの日を覚えなければ、子供たち自身ではどうすることもできないからです。

 ところで、聖書の中には「女と子供を別にして」という表現が出てきます。イエス・キリストが5千人もの人々に食べ物を分け与えたときの奇跡を描く、マタイ福音書の記事には「食べた人は、女と子供を別にして、男が5千人ほどであった」(マタイ14:21)と記されています。

 こういうものの数え方は、その時代の文化や価値観を色濃く反映しています。聖書の記者たちも「時代の子」であったということでしょうか。現代を生きるわたしたちでさえも、後の時代から見れば、特定の価値観や思想によって色づけされていることが明らかにされるときがくるのでしょうから、聖書記者たちもそうであったと言えるかもしれません。
 ただ、マタイ福音書の記者が女性や子供を蔑視していたかというと、そうではないように思います。マタイによる福音書が言いたかったことは、男を数えただけでも5千人いたのですから、女も子供も数に入れれば、その奇跡の偉大さはどれほどのことか、ということだったのでしょう。

 確かに、イエス・キリストはこのとき、当時の社会が蔑視していた女性や幼い子供たちにも等しく食べ物を分け与えられたのです。そればかりではありません。イエス・キリストがこの奇跡を行われたのは、少年が差し出した五つのパンと2匹の魚を元手としてでした。キリストはこの少年から食べ物を奪ったのではなく、この僅かな食べ物を感謝して受け取り、それを祝福して幾千倍にも増してくださいました。

 イエス・キリストが幼い子供たちを愛されたことは、こんな記事にも出てきます。あるとき幼子たちに祝福をいただこうと連れてきた母親たちを、キリストの弟子たちがとがめるということがありました。ところが、イエス・キリストはその弟子たちに向かって、「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである」とおっしゃいました。

 神の国の救いの祝福は、大人ばかりではなく、小さな子供にも注がれているのです。その子供をあずかる大人の責任の大きさを深く思います。

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