熊田なみ子のほほえみトーク 2015年8月25日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会192「王になった少年」(「母と子の聖書旧約下」88章)

 エヒウがイスラエルの王であったころ、ユダの国では何が起こっていたでしょう。エヒウはアハブの孫であったアハジヤ王を殺しました。アハジヤはたった一年しか治めませんでした。その短い間にも彼は主の前で悪をしました。その悪い母親アタリヤが、アハブのようにふるまうよう彼に勧めたからです。アハジヤの死後、アタリヤは悪魔のようにふるまいました。彼女はアハジヤの子、すなわち自分の孫を殺しました。自分が治めたかったので、孫たちを王にさせたくなかったのです。
 しかし、一人だけ赤ん坊が助かりました。小さい王子たちが次々と殺されていくのを見たアハジヤの姉妹は、まだ小さな赤ん坊であった一番末の子を盗み出し、その乳母と一緒に寝室に隠しました。そして、自分の側に置き、おばあさんの目に決してふれさせませんでした。その名はヨアシでした。6年間、ヨアシのおばさんは、自分を女王にしたてた血なまぐさいおばあさんからこの子を隠しました。
 このおばさんは、エホヤダという大変良い人と結婚していました。エホヤダは神の大祭司でした。幼いヨアシは主の宮に隠されました。アタリヤは絶対に神殿の近くには行かなかったのでそこは安全でした。誰もアハジヤ王の息子の一人が生きていることは知りませんでした。おじさんとおばさんは、このことを秘密にしていました。

 ヨアシ王子が7歳になった時、祭司エホヤダは軍隊の大将たちをエルサレムに招きました。そして、アタリヤ女王が王子たちを殺した時、赤ん坊が一人だけ助かったことを話しました。エホヤダは大将たちに幼いヨアシに忠実を誓わせました。大将たちは、喜んでこの約束をしました。アタリヤ女王は非常に悪い人だったので、彼らは女王を憎んでいたのです。その上、彼女はダビデの家の者でなく外国人です。彼らはダビデの血筋の王を欲しました。ユダの人たちには何もかも非常に悲観的に見えていました。悪いアタリヤは、自分の夫ヨラムのその兄弟たち、すなわちヨシャパテの6人の息子を殺させたのでした。また、人の知る限りでは、彼女は孫を全部殺してしまったのでした。人々は、どうして神様がダビデの血筋を途絶えさせられたのか理解できませんでした。神様はダビデに、その子孫がいつまでも治めると約束されたのに、ダビデの家の者がみな殺されたらどうしてそれが実現されるだろうかと考えていました。

 ダビデの血をひいた王子が一人助かっていると聞いて、みんながどんなに喜んだか想像できるでしょう。エホヤダは、幼いヨアシを連れてきて大将たちに会わせました。彼は小さい王子を危害から守るため、兵隊たちに彼の側近く立つことを命じました。王子のまわりに武器を持った兵を置いてから、エホヤダは、ユダの全国民に、王の戴冠式に来るよう招きました。エホヤダは冠を少年の頭に乗せ油を注ぎました。ヨアシが王となったのです。ラッパの音は響き渡り、人々は「王さま万歳、王さま万歳」と叫びながら手を叩きました。
 アタリヤ女王は、人々の叫び声とラッパの響きを聞きつけ、何事が起ったのかと宮に見に来ました。すると、宮の柱の側に、槍や盾を持った兵隊に囲まれた小さな王を見ました。人々は手を叩いて喜んでいます。女王は自分の服を裂き「反逆です、反逆です。」と叫びました。エホヤダは兵隊たちに彼女を殺せと命じました。しかし、聖い宮ではいけません。アタリヤは馬道へ逃げて行きました。兵隊たちは彼女を捕え、そこで多くの人を殺したこの悪い女を殺しました。

 エホヤダは全ての民に、主の民となることを約束させました。幼い王も、主に仕えることを約束しなければなりません。それから人々は、バアルの宮に行き、それを壊しました。アハブの孫は、聖都エルサレムにまでバアル礼拝を持ち込んでいたのです。大行列を作って人々は若い王を宮殿に連れて行きました。そして、王座に座らせました。ヨアシは頭に王の金冠をいただき、手に王の金しゃくを持って座りました。あの立派な王座に座って、さぞや小さく見えたことでしょう。ヨアシはわずか7歳で王にされました。善良な祭司エホヤダが彼を育て、神様について教えたので彼は主に仕えました。

 少し前までユダの国は神様を畏れる国でした。ヨアシの祖父ヨシャパテは良い王で25年間治めました。その息子のヨラムは、あの悪いアタリヤと結婚し、偶像を礼拝しました。かれは8年間治めました。その息子アハジヤはたった1年、王位に着いていました。悪いアタリヤは6年間王位を占めましたが、善良なヨシャパテ王の時からまだ15年しか経っていません。大方の人は、その頃のことを覚えていました。小さいヨアシが善良で神様を畏れる人に育っていくのを見て、みな喜びました。神様は40年間ヨアシ王にユダを治めさせられました。

 少年ヨアシが成人するにつれ、神の聖なる宮の修理を思いたちました。ソロモンが宮を作ってから、およそ150年経っていました。ある個所は古びて修理の必要があります。アタリヤの息子たちは、金の皿をたくさん持ち出して、バアルの宮に移していました。ヨアシ王は、老祭司エホヤダに人々が持ってきたお金を、工事の人たちの支払いに使うように言いました。大工の一人が頑丈な箱を作りました。箱の上にお金を入れられるだけの穴を開け、箱を宮の門の脇に置きました。
 主に捧げ物をするために宮に来た人は、箱にお金を入れて行きました。モーセはずっと昔、20歳になった男子は全て主に半シケルを毎年持って来ることを命じていました。ヨアシはそのささげものを宮にもってくるように人々に命じたのです。
 人々は、自分たちの美しい宮が補修されるのを大そう喜び、たくさんのお金を箱に入れました。箱が一杯になると、大祭司や王の書記がお金を取り出して、袋に入れました。毎日、箱は一杯になり、中味が袋にあけられました。このお金は宮の工事にたずさわる人の支払いや、建物の壁を修理する材木や切り石を買うために使われました。残ったお金は、主のご用のための金、銀の器を買うために使われました。やがて宮は完成しました。再び立派ですばらしい宮になりました。

 老祭司エホヤダの生きている間は、ヨアシ王はよい統治者でした。しかし、ヨアシが王位についた時、エホヤダはすでに90才でした。とうとう祭司は、130才のとき死にました。彼は多くのよいことをしたので、人々は彼を大そう愛し、ダビデの町に、王たちと一緒に葬りました。エホヤダの死後、悲しいことが幾つか起こりました。省きたいぐらいですが、聖書の物語からなにも省くことはできません。ユダのつかさたちは、ヨアシ王の所にきて、主を礼拝するのにあきたといいました。彼らは偶像礼拝に戻りたかったのです。ヨアシも同じように感じていたので、民は主を離れ、バアルとアシラの偶像に戻りました。
 神様は彼らをご自身に立ち返らせるために、何人かの預言者を遣わされましたが、彼らは聞き入れませんでした。神の霊は、善良な老祭司エホヤダの息子ゼカリヤにのぞみ、民に、もし彼らが神様を忘れ続けるなら栄えないと伝えよ、といわれました。
 しかし、王や民は、ゼカリヤの言うことを聞きませんでした。ヨアシは民に、幼い自分を血なまぐさい祖母のアタリヤから救い、王とした老祭司の息子を、大きな石で撃つように言いました。もっと悪いことに、これは聖なる宮の外庭で起きた出来事でした。ゼカリヤは死ぬ直前に、「どうぞ主がこれをみそなわして罰せられるように」といいました。神様は、たしかにヨアシとその民を罰せられました。

 みなさんは、スリヤの王、ベネハダデの顔にぬれた布をかぶせて窒息死させたハザエルのことを覚えているでしょう。神様はこの残酷な人を通して、イスラエルとユダの両王国を偶像礼拝の罪のために罰せられました。ハザエルは、ユダよりもスリヤに近いイスラエルに向かって行きました。その時、王位についていたエヒウの子は、主に従っていなかったものの、危険が迫ってきた時に神さまに祈りました。神さまは彼の祈りを聞き入れ、スリヤ人の軍勢を退けられました。
 それから、ハザエル王はユダとエルサレムに向かって行きました。大軍勢ではなかったのですが、ユダのつかさたちが、先祖の神を忘れてしまったので、神様は、ハザエルがユダのつかさたちを全部殺すことを許されました。これを見たヨアシは、神殿からすべての聖別されたものとすべての金を取りだして、ハザエルにおくり、エルサレムから離れさせようとしました。
 ユダの多くの人は、王に対して大そう怒りました。彼は主の宮を修理したりして、大そうよい出発をしたのに、あとで先祖の神を離れ、その統治の終わりは大そう悪いものになりました。ヨアシの家来二人は、彼が自分を育てた善良な大祭司の息子ゼカリヤを殺したので、当然、死にあたいすると考えました。ある晩、二人は王を殺すことに決めました。王が病気で寝ている寝室に入りこみ、王を殺したのです。
 ユダの民が、死んだ王を見つけた時、彼らはヨアシを葬りましたが、王の墓にはいれませんでした。彼は主から離れたので、そこに葬るのはふさわしくないと考えたのです。ヨアシ王は7才で統治をはじめました。そして40年間、治めました。もし、神さまに従っていれば、もっと長く治めることができたでしょう。

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