キリストへの時間 2019年11月24日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山脇克之(南与力町教会会員)

山脇克之(南与力町教会会員)

メッセージ: 喜んで与えられるように



 おはようございます。山脇克之です。今日も新しい朝が与えられ、皆様とともに、聖書の御言葉に触れられることの幸いを感謝いたします。

 現在、私は清和学園で勤務しています。日曜日は南与力町教会で、平日は学校で行われる毎朝の礼拝で、聖書の御言葉に触れさせていただいています。清和学園の礼拝は、牧師先生をゲストで招く日以外は、教員がローテーションを組んで話をします。毎日先生方の話を聴きながら「ハッ」とさせられたり、「そうなんだ」と感心させられたりすることばかりです。マタイによる福音書に「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」(4:4)とありますが、まさに、神の口からでる言葉、聖書の御言葉に励まされ、生きる希望を与えられているのだと感じます。

 今朝、読んでいただいた聖書(2コリント9:6-7)には「こうしようと心に決めたとおりにしなさい」とありました。私はすでに両親がいませんが「あの時、もっとこうしておけば良かった…」と思うことが山ほどあります。父親は晩年、長期の入院生活を送りましたが、毎日病院で付添いをしていたのが母親です。母親もパーキンソン病を患っており、手足の震えが止まらない状態でした。母親は一人で病院から帰るのも一苦労でしたので、私も学校から帰宅する際、必ず病院に寄るようにしていました。

 母親を車に乗せて病院から帰宅する途中、よくスーパーに寄っていました。母親は一人で買い物をするのが難しく、私が一緒にいる時に買い物を済ませるようにしていました。ある日、買い物をしている時に、見ず知らずのおじさんに声を掛けられました。「お母さんを大事にしなさいね。」と言われたのです。

 ドキッとしました。おじさんは、単純に、母親がしんどそうな姿を見て、そう言ったのかもしれませんが、ひょっとしたら母の隣にいる自分の姿や表情を見て、「大事にしてあげなさいよ」と言ったのではないのか…。ドキッとしたのは、その一言が、今まで親に何もしてこなかったことを言い当てられたような気がしたからです。その数カ月後、母親は亡くなりましたが、そのおじさんの一言は、ずっと頭の中にあり、今も忘れることができません。親に何も出来ていないことへの後ろめたさ。寝たきりの父と、動けなくなった母への苛立ち。そう思っている自分への嫌悪感と腹立たしさ。おじさんは、そのような私の内面を感じ取ったのかもしれない、と思うのです。

 親に対して何もしてこなかった私ですが、唯一させてもらったのが父親の介助です。最初は母が食事の介助をしていたのですが、先程も言ったように、パーキンソン病が進行して手足の震えが止まりません。食事の介助も出来なくなってしまい、看護師さんが食事の介助をしてくれていたのですが、大勢の患者さんを相手にしているので、看護師さんもつきっきりで看てくれるわけではありません。

 せめて夕食の時間には病院に行こうと思い、できるだけ食事の介助をしました。はじめはぎこちなかったのですが、徐々に口に運ぶタイミングやお茶を飲ませるコツなどが分かってきます。食事が終わったら入れ歯をはずして、歯ブラシで洗い、入れ歯洗浄液の入った容器に入れる。一連の流れが分かってくるのです。

 「看護師さんは毎日、このような細かいお世話をしているのか。」と、その仕事の尊さを思いながら、同時に「自分もこういうことを親にしてもらったんだなぁ」と思いました。まだ自分で食事やトイレが出来ない時、食べ物を柔らかくして食べさせ、おむつを換えてくれたのは、他でもない親です。だから、今度は自分がさせてもらっていると思うと、その時間が楽しい時間になりました。

 日頃の生活の中で「後悔先に立たず」と思うことがいかに多いことでしょう。そうならないように、と思うのですが自分の甘えや弱さから、ついつい「思った時にできない」ことが多くあります。

 今日の聖書箇所には、「不承不承ではなく、強制されてでもなく、こうしようと心に決めたとおりにしなさい。喜んで与える人を神は愛する」と書かれてありました。自分が思うこと、心に決めたことを進んで行うことができれば、私たちの日常生活は少しずつ変わってくると思います。自分が何かをしてもらうだけではなく、自ら進んで与えることができれば、私たちの心はより豊かなものになるのかもしれません。

 自分が出来ることは何か、今日出来ることは何かを考え、少しでも行動に移せるように、与えられた一日を大切にしていきたいと思います。



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