キリストへの時間 2024年10月13日(日)放送

山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ: 聖書と備え

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
 今日10月13日は、「国際防災の日」です。1989年に定められた日ですから、まだ歴史が浅く、認知度も低いかもしれません。国連の組織が定めた国際デーですので、やがてはもっと認知度が高まるかもしれません。

 とりわけ、昨今では、異常気象がもたらす災害や大規模な地震や噴火のニュースは、世界中の人々に警戒心を起こさせています。特に、自然災害が多い私たちの国では、年を追うごとに、防災への関心が高まっているように思います。

 確かに、自然災害に備えておくことは、とても重要なことです。というのは、地震や台風、洪水といった災害は、ある程度予測できたとしても、現代の知恵と知識をすべて動員しても、完全には予測できないものだからです。残念ですが、私たちが日々どれだけ慎重に生きていても、自然災害を避けて通ることはできません。しかし、事前の備えによって、被害を最小限に抑えることはできます。普段の備えによって命を守ることができるのであれば、そこに労力を投じることは、決して無駄なことではありません。

 備えという点で、私たちが忘れがちなのは、防災は単なる技術的な問題だけではない、ということです。人と人との絆や助け合いが、防災に深く関わっていることは、ここ20数年で起きた大規模な自然災害から、私たちが学んできたことです。

 災害が起きると、人々は突然の恐怖と不安に包まれます。しかし、こんな時こそ、人間の思いやりが発揮される瞬間でもあります。隣人同士が協力して支え合う姿は、私たちが普段忘れがちな「人とのつながり」を改めて感じさせてくれます。防災の準備を通して、自分自身だけでなく、周りの人々をも守ることができるのです。これこそが、私たちが持つ大切な責任の一つではないでしょうか。

 聖書は、隣人を愛し、助け合うことの大切さを強調しています。新約聖書では、イエス・キリストが「隣人を自分のように愛しなさい」(マタイ22:39)と語り、困っている人の隣人となって助けることが、私たちの使命であると教えています。災害時には特に、弱い立場にある人々をどう助けるかが重要になります。たとえば、高齢者や子どもたち、体が不自由な人々が安全に避難できるよう支援することは、防災の一環として非常に大切です。これは信仰に関係なく、誰もが理解できる普遍的な価値です。

 しかし、防災というテーマを考えるときに忘れてはいけないのは、「心の備え」です。聖書は、「いつも目を覚まして」(ルカ21:36)、「用意していなさい」(ルカ12:40)と教えています。これは、世の終わりのときに対する心の備えのことですが、いつも神に心が向いているときにこそ、どんなときにも心穏やかで、冷静にいることができます。

 災害に対して、心を落ち着かせ、冷静に対処できるかどうかは、非常に重要です。災害は、私たちにとって試練の一つですが、その中で互いに支え合い、協力することができれば、困難な状況でも希望を見出すことができるはずです。

 結局のところ、防災とは単なる「自分のための準備」ではなく、「私たち全員のための準備」です。家族、友人、隣人が安全に過ごせるよう、私たちができる限りのことをしておくこと。それは、愛と思いやりの実践であり、社会全体の絆を深める行動です。

 国際防災の日を機に、私たちはもう一度、自分たちがどれだけの備えをしているか、そして、隣人への支援にどれだけ目を向けているかを考え直してみてはいかがでしょうか。



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